池井戸潤とネジ工場
2013.08.21
ドラマ「半沢直樹」が面白い、高視聴率も頷ける。半沢直樹の実家がネジ工場だったというのも個人的にツボなのだ。NHKでも池井戸潤原作の「七つの会議」 というドラマをやっていたが、こちらにもネジ工場が出てきた。そのネジ工場の描写があまりにリアルで「えっっ!?どうしてこんなことまで知ってるの?」と いうくらい驚いた。何故って私の実家もネジ工場だから。
ドラマでは様々な職種が描かれる、学校、病院、ファッション業界、レストランなど、その多くが本当に職業にしている人には「ありえない~!」という場面の なんと多いことか。私はアパレル業界にいたし、姪はパティシエ、妹は教師、それぞれが自分の業界のドラマになると現実との違いに突っ込みを入れながら観て いる。しかし、七つの会議に出てきたネジ工場はまるで我が家かと思うほどリアルで、観ていて逆に落ち着かないほどだった。 機械は沢山あるのに高い天井の せいか、照明が全体に届かずガランとした印象で、不思議な寂しさのようなものが漂っている、その何とも言えない雰囲気が見事に出ていて、あの独特な油と熱 い鉄の匂いがしてくるようだった。重油と一緒にネジがカチャカチャと出てきて溜まっていくところなど、あまりのリアルさに「七つの会議、観た?」と翌日姉 妹で盛り上がった、懐かしさがそれぞれの幼いころの記憶を呼び覚ましたようだった。私の場合は工場の旋盤で兄と一緒にベーゴマを削ったり、万力でクルミを 割ったりしてよく遊んだこと。おかげで様々な工具の名前や使い方を遊びながら覚えてしまった。重油で汚れた手は、最初に石油で洗わないときれいにならな いって、殆どの人は知らないだろう。ネジ工場はドラマのほんの一部ではあるけれど、ここまできちんと描かれていることに作り手の姿勢をみた気がして嬉し かった。
池井戸潤は大田区の町工場に詳しいようだが、それにしてもなぜ地味な「ネジ工場」なのか?聞いてみたい気がする。