透明な沈黙
2014.08.25
館林美術館の「夏休み!いきもの図鑑」という展示が面白そうだったので行ってみた。百科事典に乗っているような生き物の細密画も面白かったが、植物に彩色 して作られた昆虫や想像上の(でもとてもリアルな)魚や動物や昆虫人間(?)の標本も、異様な存在感を放っていて見応えがあった。
中でも一際魅かれたのが「透明標本」だった。魚などの軟骨を青く、硬骨を赤く染め分け、それ以外は透明な骨格標本。息を呑むほどの美しさに圧倒されてし まった。作品に関連した書籍を閲覧できるコーナーで「透明な沈黙」という、透明標本とウィトゲンシュタインの言葉を重ねた本を見つけ、さらに衝撃を受け、 即買いしてしまった。かつて知っていたウィトゲンシュタインが別の姿になって現れたようだった。
この二者が出会うことによって創り出される、静かで透明 で、少し胸苦しくもある深く不思議な力強さに満ちた世界。しばらく夢中になりそうだ。